北海道・美瑛の丘は、ほとんどすべてが「畑」である。麦、トウモロコシ、豆、ジャガイモなど、夏になればそこは色鮮やかな畑のパッチワークとなる。冬になると、その風景は一変する。土は一面まっ白なやわらかい雪に覆われ、時々思い出したように点々と小屋や、木、ごくたまにキタキツネが姿を見せる。東京から足を運んだ自分には、その清々しい何もなさに、ただただ目を奪われてしまう。夜明けから日没まで、光によって雪の表情は刻一刻と色も質感もかわっていく。朝の穏やかなピンクがかった光。雪雲の曇り空は白く、雪原との境界線も曖昧になる。日の沈む直前はすべてがブルー一色になり、自然のつくりだす壮大なアートの中に放り込まれた気分になる。

この一見何もない風景は、ときには鏡のように心を写しだし、ときには窓のように心を外へと導き解放してくれる。自分の写真もそうであってほしい、と願う。

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